大人の吃鬱病(吃音による鬱病)


 吃音に由来する鬱病症状を私は「吃鬱病」呼んでいる。吃音を持った我々は人前で話をした時、吃ってなかなか言葉が出なくて立ち往生する事がある。その時「惨め」、「泣きたい」、「悔しい」、「恥ずかしい」などの感情が渦巻きその場に居たたまれなくなった事が多かった。特に若い時に多い。こんな時落ち込んでしまいひどい時は2~3日強い憂鬱な時を過ごし、症状は軽くなるが長引く事がある。私は性格がきついのでより強く感じるのかも知れない。こんな状態を私は「吃鬱病」と呼んでいる。

 

 先の「吃音を蹴飛ばした親父の話」に「吃鬱病」と題して平成15年3月1日付けにコラムにアップした。これは私が小学生の時自殺を考えたので、吃音の子供を見ていて援助する立場の先生や大人の注意する視点から書いた。基本的に見る観点は同じである。

 

 学生の場合を考えよう、卒論、修論の発表時に吃ってしまっても内輪であり、学生時代は「均質社会」と言うか年代も近いし置かれているゼミの環境は同じで解り会える社会である。先生も学生を好意的に見てくれる。

 

 社会人になると全く周りは新人(新入社員)から年配者(定年前の人)まで多様な人々がいる。新入りは周りの人に自分を理解される事が大事である。理解され更に好かれると失敗も好意的に見てくれる。

 私は吃音を上司に言ったし、周りに「吃る」事が解るが軽度だが吃って話す事は職場の皆に知れている。それに伴う感情の落ち込みは解らない。吃った後の「落ち込み」や感情の起伏は言葉で云わなくては理解されないし伝わらないものだ。誰でも吃らずに、話せるのになぜ自分だけが吃るのかが自分自身にも腹が立つ。この感情の起伏、鬱状態になる事の様子は職場の皆さんに言う必要はないが、上司にだけは感情の状態を話しておいた。

 

 もちろん、吃音であっても3分間スピーチ、色々な説明の配慮は要らない事も話しておいた。言っておくと少々吃って時間がかかっても、私自身気が楽になった。引き継ぎの時に「早く言え」と失礼な事を言う先輩が必ずいるものだ。こんな時に上司に言っておくと注意をしてくれる。注意してくれなくても、上司が知っていると思う事で安心出来た。気短な私は、直ぐに殴りたくなるが、上司に知ってもらっておく事により、この気持ちを抑える事が出来た。上司に吃った時の感情の起伏まで自己開示しておくとよい。

 

 周りが殆ど気付かない程度のほんの極少し吃る程度の吃音でも本人が非常に悩んでいる人もいる。吃音の度合いと「気にする度合い」はことなります。吃音者は自分自身で、職場を快適な職場にする事が大事なのだが、その方法については、おいおい書いていく予定である。

 

 ここでは吃音者は大勢の前で、吃った時に吃鬱病になるので職場の上司には感

情面の起伏まで含めて自己開示をしておく事が大切だ。

 本人が言いにくい場合は先輩の吃音者かまたは吃音の苦しみを理解出来ている3者にお願いして吃音者の気持ちや心境を説明して上げるとよい。

 

 私は吃音の高校生の面接時の自分の名前が言えないなどの苦しい気持ちを父兄と共に担当教師に説明し理解してもらい、そのうえで配慮をお願いした。面接の事前に会社の採用者担当者に会って教師からその人柄と共に吃音の面接時の心理状況をよく話してもらった。社長に吃音を理解していただいた上で採用していただき就職に成功した事がある。

 

 吃音者の性格もあるが、深く悩み、鬱状態になる人がいる事の思いをめぐらそう。特に就職面接時、入社時、異動時には気を付けてあげよう。特に若い吃音者に対して配慮しよう。